ご無沙汰しております。
シンジです。
今日は商品を販売していくマーケティングにおいて
「差別化がめちゃくちゃ上手いなー」
と思った商品があったので紹介したいと思います。
近年話題になっている
「モノを売る」から「コトを売る」
のお手本のような事例だったのでシェアさせて下さい!
その前に
商品を購入した理由って?
本題に入る前に、皆さんが自分で購入したものに関して。
なぜ、その商品を購入したかをロジカルに説明がつくものは幾つありますか?
例えば、家や車だったら高額が故に説明できる人がほとんどかと思います。
「駅から近くて、奥さんの実家にも電車で1本だし、職場までも車で15分くらい。周辺環境も良くて予算内だから。」
とか
「子供も増えて、キャンプや旅行にいく事も多くなったから積載スペースが広くて、子供の乗り降りも簡単で、後部座席にTVも付けられて燃費も良いから。」
とか。
説明の深さは人それぞれだとしても、大概なにかしら理由が言えると思います。
わたしは最近車をミニバンからSUVに買い替えたのですが
- 子供の習い事で土日が埋まりキャンプに行く回数が激減した。
- 家族全員で同時に車に乗る事がほぼなくなった。
- 子供も大きくなりスライドドアは必要なくなった。
- 土日しか乗らないので燃費は気にしない。
- 車検が近かった。
- 今なら高く売れるタイミングだった。
- 重量は変わるが実質1万円ちょっとの差額。
- 何より自分が本当に乗りたい車に乗りたい!車をいじりたい!
が理由で買い替えてます。
購入した理由の説明が難しい商品
家や車のように明確に購入理由(なぜそれを選んだか?)が述べられるものもあれば
そうでない商品群も世の中には存在します。
代表的なものでいうと野菜や飲料は難しいカテゴリーと言われています。
購入理由が言えないというのは
機能面(商品そのものの特徴含む)違いをつくりだしずらく
差別化ポイントをつくるのが難しい商品カテゴリー
とも言い換える事ができます。
特に
無味・無臭・無色・無加工の【天然水(ミネラルウォーター)】
というカテゴリーは究極的に差別化が難しい商品だと思います。
生活で普通に使い、コンビニで100円前後で買える商品なだけに
天然水コーナーにたった時にあれこれと悩んで考え、天然水を購入する人は少ないと思います。
軟水・硬水の差はあれど「水」という素材そのものに差をつけるのは困難と言えます。
各社は、天然水コーナーに来た時に、価格以外で瞬間的に想起してもらい
「間違いない商品だ」と思ってもらう必要があります。
その為にはTVCMを始めとした多大なマーケティングコストが必要となってくるのです。
天然水(ミネラルウォーター)の黒船
しかし、そんな【天然水(ミネラルウォーター)】というカテゴリーに、見事に差別化を図って数年前から海外で話題になっている商品があります。
それがコレ!
これ、天然水(ミネラルウォーター)なんです!
パッケージからして「ハイボールか何かの類かな?」とか初見で思ったのですが、中身は
普通の天然水(ミネラルウォーター)なんです。
大事なことなのでもう1度言いますが、普通の天然水(ミネラルウォーター)なんです。
利用シーンを創りだし差別化する
最初に述べた通り、天然水(ミネラルウォーター)は無味・無臭・無色・無加工が故に中身での差別化が難しい。
それならば・・・とD2Cブランドでは重要と言われているPNPを設計。
※PNPとは「Product」「Naming」「Package」の頭文字をとったもの。
- Product・・・高品質な天然水
- Naming・・・水とは思えない商品名。Liquid Deathて・・・。
- Package・・・強めのハイボールか、とにかく怪しげなデザイン
特にNamingとPackageの視覚的なインパクトがすごく、
これを初見で一瞥して天然水(ミネラルウォーター)
と判断するのはほぼ不可能ではないかと思う。
Liquid Deathのマーケティングが凄いのは、利用シーンを限定的に見せる事でマーケットを創り出した事みたいです。
皆がお酒を飲むような場で、水を飲んでいるのがバレたくない。
というインサイトを見事に捉えて、ナイトクラブやフェス会場で発売したところ
「飲んでもダサくない水、むしろカッコいい」
と話題となり2019年に4億円だった売上が、
2021年65億円⇒2022年190億円⇒2023年400億円と急成長。
公式ホームページ
https://liquiddeath.com/en-jp
では世界観をふんだんに表しているグッズも多数展開されており
ここの売上も相当あるみたいです。(Tシャツ欲しい!)
更にアルミ缶を採用している事で、実はペットボトルよりも圧倒的にリサイクル率が高く、環境への配慮も完璧なんです。
経済学からみる
経済学部でしたが、ほとんど授業内容を覚えてない中、印象に残っているのが
「マーケットを<完全競争>か<完全独占>の視点で捉えなさい。」という教えです。
▼完全競争と完全独占の関係性
ある商品が、多数の供給者と需要者がおり、誰もが現在の価格を左右する影響力をもたず、自由に競争が行われる状態を完全競争。
故に差別化は難しく儲からない。
ただし、その状況からもし独占する事ができれば大きな収益をあげること出来る状態の事。
この理論で言うと
天然水(ミネラルウォーター)を販売するという完全競争から
使用シーンを限定してマーケットを創り出す事で完全競争から抜け出し
完全独占に持っていった。
という感じでしょうか。
「モノを売る」から「コトを売る」
ここで出てくるのが
「モノを売る」から「コトを売る」
です。
「モノを売る」とは
モノ発想は「自(店)社の都合」であり、作ったモノ、仕入れたモノをどういう売り方をすれば売上か上がるかという発想です。
「コトを売る」とは
コト発想は「お客の都合」に合わせ、お客様がコトを実現するためには、どういう買い方をするのが一番お客さんの都合にふさわしいかという発想です。
今回のLiquid Deathのケースでいうと
皆がお酒を飲むような場で、水を飲んでいるのがバレたくない。
という生活者側が実現したい事を叶えてくれており、ふつうの水に付加価値をつける事で
オンリーワン商品にしている所がポイントのようです。
天然水(ミネラルウォーター)に対して、従来世間の人が抱いているイメージは
・健康的
・さわやか
・透明感
ですが、Liquid Deathがとっているイメージ戦略は全て真逆。
ナイトクラブやフェス会場での露出度を徹底的に高める事で
その界隈に集まるターゲットに対して
「こういうシーンで飲む天然水(ミネラルウォーター)」
という認知とイメージ想起を見事に確立したようです。
ナイトクラブやフェスに参加しているターゲットは
一般的には情報感度が高い人が多いと言われており
そういった人たちのSNSを通じてバズを起こし、売上につなげたようです。
今や当たり前になりましたが、レッドブルが日本に上陸した際も
クラブでも飲めるエナジードリンクという印象がありましたが、それにかなり近しいものを感じます。
(クラブでオロナミンCはなかなか飲めないですよね)
最後に・・・
という事で、今回はLiquid Deathのマーケティングの紹介をさせて頂きました。
もっと「水」について詳しく知りたい!
という方は是非以下のサイトをご覧ください!
https://www.water-magazine.jp/
個別にご連絡頂ければセンド専属の担当アクアソムリエが答えてくれます!